霧の雲海とは?
舞鶴で発生する「霧の雲海」

高気圧に覆われ、晴れて風の弱い日は、放射冷却によって地表付近の空気が冷やされて飽和し、水蒸気が小さな水滴に変わり霧が発生します。霧には、気温が下がることによって発生する「放射霧」と、水蒸気の補給によって発生する「蒸発霧」があります。
1.「放射霧」
一般に、高気圧に覆われるとき、放射冷却により地表付近の水蒸気を含んだ空気が冷やされると、上空より低温となって「接地逆転層」ができるため、乾燥した安定層の下に「放射霧」(図1)が発生します。この「放射霧」は、秋から初冬の晴れて風の弱い未明から朝にかけて、気温が一段と冷え込むときに内陸の盆地でよく見られます。
2.「蒸気霧」
また、暖かい水面の上に冷たい空気が流れ込んでくると、水面から蒸発した水蒸気が冷やされて湯気のような霧が発生します。秋から冬かけて、由良川や舞鶴湾で発生する霧で「蒸気霧」(写真2)といいます。
「蒸気霧」は水面と空気の温度差が大きいほど発生する量が多くなります。(図2)
これらの霧は逆転層の下で地形の等高度線に沿って低地や川沿いに広がるので
、この霧が時間と共に変化し、「層雲」と呼ばれる低い雲となって舞鶴の市街や
舞鶴湾を覆うとき、観光名所として名高い五老ヶ岳の山頂付近(標高約300メ
ートル)からは、「霧の雲海」を眺めることができます。
舞鶴は、山に囲まれていて冷たい空気が溜まりやすく、川や海から水蒸気の補給があるという地形から、(写真1)のような光景を目にすることが多い所です。「霧の雲海」は日の出とともに地表付近の空気が暖められ、太陽が高くなるとともに対流活動が活発となると消えていきます。
雲海が出る条件は、霧の発生条件とほぼ同じです。
- (1)よく晴れている
- (2)風がない
- (3)気温が下がる
そして、もうひとつは、霧が出やすい場所を知っておくことです。
舞鶴や綾部(あやべ)、福知山(ふくちやま)などの盆地は、由良川が流れているため、霧が発生しやすいところです。
さらに、雲海を見るには「島」になる山と、雲海を眺める場所がなければなりません(実はこれが一番大事)。
舞鶴の「五老ヶ岳」、大江町の「大江山」、福知山の「烏ヶ岳」などは、まわりに雲海を見るための「島」になる山があり、 岡山県の吉備高原(きびこうげん)や広島県の三次(みよし)、兵庫県城之崎(きのさき)の来日岳(くるひだけ)などとならび、雲海の見えるポイントといわれます。