ガストフロントによる雲
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- 2013年3月27日07時~17時ひまわり6号可視画像
発達した積乱雲からの強い下降気流(ダウンバースト)が地上で発散する際、アウトフローの先端部
分では周囲の暖気との間にガストフロントが形成される。
そのメカニズムは、成熟期の積乱雲内に下降気流が生じると湿潤断熱減率線に沿って降下し、降下
した後空気塊は周囲の気温より10℃以上低い冷気が生じ、冷気層が厚いと位置エネルギーが運動エネ
ルギーに変換され、重い冷気は暖気の下にもぐり込みながら、暖気は軽いため冷気の上に乗り上げながら進む。
この結果、冷気の進む先端にはガストフロントが生じ、ここに発生する雲が移動していく。
上の画面は、30.5°N, 140.3°Eにある鳥島を通過する円弧状の雲列の移動をとらえたSATAIDの動画である。
このガストフロント前面に沿って円弧状に形成されるロープクラウド(ライン状の雲)はその特徴的な 形状からガストフロントを視覚的に捉えることができる。
ガストフロントの移動速度は冷気層が厚く温度差が大きいほど運動エネルギーが大きくなるため、移動動速度は大きくなる。たとえば厚さ1kmの場合、ガストフロント通過時の気温降下が10℃ならば、ガストフロントの移動速度は18 m/sとなる。
ダウンバースト
積乱雲から吹き降ろす下降気流が地表に衝突して水平に吹き出す激しい空気の流れ。吹き出しの広がりは数百メートル から十キロメートル程度で、被害地域は円形あるいは楕円形など面的に広がる特徴がある。
ガストフロント
積乱雲の下で形成された冷たい(重い)空気の塊が、その重みにより温かい(軽い)空気の側に流れ出すことによって発生する。 水平の広がりは竜巻やダウンバーストより大きく、数十km以上に達することもある。
- 【ダウンバーストとガストフロントの解説図】
- 2013年7月27日03UTCのSATAIDによる可視画像
- 2013年7月27日03UTCのSATAIDによる可視画像と500hPaの重ね画像
日本海に寒冷低気圧がありカットオフローとなっている。
東日本では大気の状態が非常に不安定となって積乱雲が発達している。 - 2013年3月27日07時~17時ひまわり6号可視画像
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- 2013年7月27日11UTCのSATAIDによる赤外画像と500hPaの重ね画像
寒冷低気圧は次第に南東進。南東象限の関東地方で積乱雲が発達し、大雨と雷が激しさを増した。
このため、隅田川の花火大会は途中で中止となり、話題となった。 - 赤いスターマークは、マウスの左クリックのポイント
02:07の画像でスタートのポイントを決め、1時間後の03:07の画像から移動後のポイントを選んでマウスをクリックすると、求めるロープクラウドの移動速度が計算されて表示される。
ここでは、南東方向に1時間で79km移動したので、秒速は43ktとなっていた。
地上にいる人は、この空気塊が移動する際、43ktの突風を感じることになる。
ガストフロントの移動速度を測定しよう
SATAIDによる移動速度の測定方法
- 2013年7月27日11UTCのSATAIDによる赤外画像と500hPaの重ね画像