お天気Q&A

気象台の語源とは?

江戸時代の気象観測  浅草天文台


幕末から明治のころの気象観測

     長崎出島ではツンベルク(Thunberg)以後も、天気、気圧、気温などの観測が続けられ、安政5年(1858)ポムペ(Pompe)、文久元年(1861)シーボルト(Siebold)による気象観測表が残っている。天文台においては天文観測と共に気象観測も行われるようになった。 日本人自身による気圧、気温の連続した観測記録として、現存するもので最も古いものは、内閣文庫所蔵の江戸の天文台で行われた「晴雨昇降表」全1冊である。これは文政10年(1828)7月から観測した1日3回(朝、昼、夕)の気圧、気温をB、Tの記号の下に記録したものである。 同じころ、大阪においては天文学者の間重新が気象観測を続けており、その結果は1828年12月5日~1833年2月5日の気温、気圧、天気が「未加精之測験」として残っている。

     天文台での気象観測は、小石川三百坂、浅草、九段坂と観測場所は変わっていくが、天保6年(1835)から毎日1回の定時の観測を行った。観測記録が残っているものとして、天保9年(1838)11月1日から安政元年(1855)12月30日までの1日3~4回、気圧、気温、風などの記録「霊憲候簿」、1ヶ月に1冊をあてた300冊近くが内閣文庫に保存されている。天保10年(1839)~慶応3年(1867)、江戸足立測量所における江戸時代を締めくくる29年間の気象観測の記録は、中央気象台に残され保管されていたと言うが、戦災により焼失した。毎日4回の乾球温度、湿球温度、気圧が観測されていた。

霊憲候簿
          
「霊憲候簿」

幕末の大政奉還

     鳥羽伏見の戦い後、天文方は廃止されて、同職にあった渋川孫太郎(敬典)・山路金之助(彰常)に代わって、土御門晴雄が陰陽頭として責任者の地位に就いた。しかし、明治3年天文暦道の権限は文部省の天文暦道局に移され、同年天文暦道局は東京に移され、星学局と改称され、旧天文方の渋川孫太郎(敬典)が任用された。同年末、土御門和丸(晴栄)は大学御用係を免職となり、暦道における土御門家の特権は廃止された。明治4年(1871)星学局を天文局と改称。現在の国立天文台の始まりとなった。


函館の気象観測のことはじめ―気候測量所 

     安政元(1854)年の神奈川条約によって、下田、箱館に外国船の入港が許され、そこで気象観測が始められるようになった。『ペルリ提督日本遠征記』の第1巻には、安政元年(1854)ペリー艦隊が函館に寄港した際、「箱館の冬と春の気侯は下田よりも寒く、もやがかかり、かつ、濃いものが多い。5月18日から6月3日までの間に寒暖計は51F°(10℃)から66F°(19℃)の間を上下し……」と記されている。   
     また、箱館奉行『村垣淡路守公務日記』(全17巻)に安政元年(1854)から安政5年(1858)までの間、幕府直轄の箱館奉行所で風向、風力、天気、気温、地震、雷などの気象要素の定時観測(朝夕2回)が行われていたことが記載されている。  
     安政6年(1859)1月~文久3年(1863)6月、函館港(初めの2年間は自宅付近)で、ロシア執事館医師アルブラケット(Albrecht)により気象観測が始められた。


函館測候所

     イギリス人トーマス・ブラキストン(J.Blakiston)が、文久3年(1863)の初夏、開港後間もない箱館に来住して、元治元年(1864)から明治4年(1871)までの8年間は雨雪日数を、慶応4(1868)年から明治4年までの4年間は、気温、気圧を観測したが、同年ケプロンが北海道開拓使顧問団長として来日、北海道の気候を調べることを目的に、気象観測を開拓使に引継ぐように、ブラキストンを通じ、開拓使函館支庁開拓使九等出仕の福土成豊にすすめて、気象観測所の設置を開拓使に建議。   
     福士にブラキストンの測器を貸し与え、官舎(函館区船場町9番地)にすえつけて気象観測を開始させた。その時の測器は空盒(ごう)晴雨計、コロメテル乾湿計、フレミング型雨量計などで、観測のためには充分とはいえなかった。
     明治5(1872)年、開拓使函館支庁は民事局地理係に属した気候測量所(足立測量所や九段坂測量所などで気象観測をしたと同様、当時は、観測のことを測量と呼んだ)を設置して、明治5年7月23日(旧暦)から正式に国の機関としてはじめて、地方時午前9時、午後2時、午後9時の3回の気象観測を開始した。  
     この函館気候測量所こそ、明治政府の手になる日本最初の気象観測所で、後の函館測候所、函館海洋気象台の基礎となった。


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